三尾(アメリカ村)

和歌山県美浜町の海沿いにある小さな地区、三尾(みお)
ここはかつて、多くの人々が海を越えてカナダへと移住したことから、今では親しみを込めて「アメリカ村」と呼ばれています。

カナダでの生活を終えて帰国した人々が、現地のライフスタイルを持ち帰り、カナダ風のロッジ住宅を建て始めたことで、村の風景が少しずつ変わっていきました。

この物語の中心にいるのが、工野儀兵衛(くの ぎへえ)という一人の男です。

1854年、三尾に生まれた儀兵衛は、父から大工の技術を学び、地元の龍王神社の改修工事でその腕を認められました。
その後、京都の宮大工に弟子入りし、さらに技を磨いたのち、父の病を機に三尾に戻り、近隣の村々で棟梁として活躍しました。

そんな中、横浜で働いていた儀兵衛は、カナダ・スティーブストンには農業も漁業も将来性があると外国人船員から聞かされ、海外で新たな事業に挑戦する決意を固めます。そして1888年、たった一人でカナダへ旅立ちました。

現地のフレーザー川で大量のサケを目の当たりにした儀兵衛は、三尾の村人たちにこう知らせました。
「フレーザー川にはサケが湧いている!」
その知らせを受け、多くの村人たちが儀兵衛を追ってカナダに渡り、日本人漁業者のコミュニティが生まれました。やがてその数は2,000人にも達します。

こうした功績により、儀兵衛は「カナダ移民の父」と称えられるようになりました。

現在、三尾は日系カナダ人のルーツの地としても知られ、多くの人が祖先の足跡をたどりにこの地を訪れています。

あなたも、工野儀兵衛の足跡をたどる旅に出かけてみませんか?

所要時間は約2時間。歩くたびに歴史が語りかけてくるツアーです。

カナダミュージアム
工野儀兵衛像とトーテムポール